拝受・フィロカリア26号

大阪大学の芸術学・芸術史講座で発行されている、フィロカリアを毎年頂きますが、その26号を先日頂きました。

目次を見てすぐに、私から見て面白そうに思ったのが、

です。


論文の目次は

はじめに
 一 綺堂調の成立と展開
  一-一 厄払いにかわる新しい台詞
  一-二 長台詞から無言へ
 二 二世左團次による演出
  二-一 台詞術
  二-二 心理的表現
 おわりに

となっています。


こうした舞台上の言語言語生活史上の問題として、意識したいと思っています*1


秋岡氏は綺堂の、

我々は努めて現代語に近寄せようとするのであるが、それでは観客で承知しない。

という言葉*2引用するところから始めて、歌舞伎西洋演劇における台詞のありかたなどの違いなど、面白い観点を教えてくれました。


そういえば、昨年だったと思いますが、演劇学の別の人の手によるもので、演劇の発声術の歴史などについて書いたものがあったのを思い出しました。


こうした近隣領域のものは、なかなか追い切れませんが、フィロカリアを下さるお蔭で読むことが出来、ありがたいことです。

ついでに書くと、江戸期における謡曲詞章の改変について、天野文雄先生が書いた論文が載っていたようにも思いましたが、それは『演劇学論叢』の方だったようです。

*1:謡曲共通語への興味からの流れもあります。

*2:「十七年はひと昔」『綺堂劇談』