「越境した日本語」

今日、大阪大学文学研究科で毎年行われている「教員研究会」というのがあり、真田信治先生の大変興味深いお話を聞くことが出来ました。


台湾で行われている、日本語ベースのクレオールについてのご発表です。「ピジン薄命」と言われるように*1ピジンは一世代のもの、使われ続けていれば次の世代からは母語となってクレオールになるのですが、台湾において、日本語ベースのクレオールが行われていて、しかも、「原住民族語言能力認證考試」で、去年からこの言語での受験も認められているというのです。


真田先生たちのグループはフィールド調査をされて、これらの言語を調査されているのですが、その中の一つは、上記のように受験も認められているため、web上に例文等も載せられている、ということです。真田先生からwebのURLをお教えいただきましたので、早速覗いてみました。


http://abor.icon.ntnu.edu.tw/new/
で(文字コードはBIG5)、左のメニューから、「日常族語」を選び、その中の「基本詞彙」「生活会話百句」をみると、問題の「寒溪泰雅語」があります。
「生活会話百句」の方がおもしろいものです。

「選択方言」で「泰雅語」を選ぶと、「泰雅族宜蘭寒溪泰雅語」が選べるようになります。



↓これで直接いけるようです。
http://abor.icon.ntnu.edu.tw/new/life100/main.asp?chr=629&aName=&aNum=&Class1=&BasBank=1

anta no namay ga dare?

というのだけをみると、単に日本語が使われているだけではないかと思われますが、

A: anta bla ga? 你好嗎?
B: waha bla, anta ga? 我很好,你呢?
A: waha mo bla, aligato! 我也很好,謝謝你。

などをみると、日本語ではない、と分ります(右は中国語訳)。


九州方言をベースにしていることもあって、大変面白いものですが、九州方言からどのように変容したのか、もととなっている九州方言はどのようなものであったのか、興味は尽きません。

たとえば、「taberasta」のような形は、九州方言でもあるものですが、九州方言からきたものなのか、当地でできた言い方なのか、など。


もっと詳しい調査報告がなされることを期待しています。



http://www.koryu.or.jp/taiwanstudies.nsf/3825f981f847dc3649256a1c00122197/f90e8f832e74b4c149257498002d43ff?OpenDocument
こんな報告があるんですね。

*1:これは真田先生の言ではありません。念のため。