盛岡での日本語学会など

11/1の日本方言研究会近代語研究会
11/2〜3の日本語学会
が、盛岡の岩手大学などを会場に行われましたので、言って参りました。


日本方言研究会は、発表をしたこともある学会ですが、久しぶりに会場に入りました。発表要旨集にカラーページがあってびっくりしました。発表者の負擔でしょうが、どれぐらいの追加額を必要とするのでしょう。すべて白黒の印刷と、1ページでもカラーがあるのとでは、随分額が違ってくるのではないかと思いました。


さて、方言研究会で興味を引いたものの一つが、新田哲夫氏による福井県安島方言報告でした。

「まくら」がmaffa、「しらみ」がssamiとなるなどの特徴をもつものですが、これが、今の老年層には見られるものの、その少し上の世代では、その前段階の様子だったらしいということなのです。
福井市などで「うざくらしい」と言われているのは、現在の安島ではuzaffa……なのに、少し前の安島方言記録したものでは「うざクワしい」のように書いてあるそうです。

つまり、この発音は現在の老年層という、1世代だけのもののようなのです。


その場で質問もしたのですが、福井などの北陸では母音脱落が、他の地域に比べて多く起っているように思います。

そのうち、翌日の日本語学会の懇親会でも新田氏とお話しした、福井市を中心に見られる鼻的破裂音というのがあり、これが上記安島の重子音と似た運命をたどっているように思います。これは「〜てしまった」の意味である「〜てもうた」が「tnんた」と発音されるものですが、これは現在の中年層を中心に聞かれるもので、若い層では「つんた」になってしまっています(「てんた」と言っている人(地域?)もありますが、それは、「てもうた」から直接なったのか「tnんた」から来たのかわかりません)。


そして、このような1世代だけの音、というのは、これまでの日本語史の中においても、しばしばあったことなのだろうと思い、今、目の前にある状況を報告された新田哲夫氏のご発表に、改めて、よい発表を聞かせていただいた、と思う次第です。